いつも粟津温泉法師をご利用いただき、ありがとうございます。
4/10朝日新聞にて、当館の取り組みを掲載いただきましたので、一部抜粋してご紹介致します。
1300年以上も湯守の一族により代々受け継がれてきた世界最古級の温泉宿があると聞いた。奈良の大仏より古い温泉とは、どのようなところなのか。北陸のとある温泉地を訪ねた。
石川県小松市の中心部から南へ約10キロの山あいにある粟津温泉。その中心部にお目当ての旅館「法師」があった。
伝承によると、その歴史は奈良初代にさかのぼる。718年、白山に入り修行をしていた越前の高僧・泰澄大師の夢枕に白山大権現が立ち、こう告げた。
「ふもとの粟津という村に霊験あらたかな温泉がある。掘り起こし、末永く人々のために役立ちなさい」
お告げに従い、温泉を掘り当てた泰澄大師は、弟子の雅亮法師に湯守りを命じた。これが法師、もとい粟津温泉の始まりという。
建物正面の道路にそびえる「黄門杉」は、江戸時代初めに加賀藩2代藩主で「黄門様」と呼ばれていた前田利常が那谷寺へ参拝する途中に植えたことが由来とされている。
近代では、伊藤博文や桂太郎らの政治家や田山花袋、与謝野晶子、竹久夢二らの文化人も投宿した。
最近では、明治期に建てられた離れの「延命閣」(国登録有形文化財)が、日本文化に関心の高い外国人観光客に人気だという。
また、1月の能登半島地震では、被災者の災害関連死を防ぐため、被災地からの2次避難者を受け入れた。3月16日以降、北陸新幹線の延伸と重なる中でも、いちはやく今夏までの受け入れ継続を決めた。
「温泉の癒やしを広く届ける。それが創業以来の変わらぬ役目です」
奇跡のような1300年の歩みを、2時間ほど聞かせてもらった。それでもなお、体がポカポカと温かいのは、湯の効果か、それとも、湯守の人々の熱き思いゆえだろうか。